「隠喩」の例文集(いんゆ)
「〜のようだ」を使わず、別の物の像をそのまま重ねる比喩。説明を省くぶん、像が鮮烈に立ち上がります。感情に触れられる形を与えたいときに。
辞書に収録した55語から、この技法を使った55の言い換えを集めました。
胸の奥で、小さな灯がともった。
喜び5語
胸の内側で、小さな花火が上がった気がした。
弾けるような高揚感を、花火という具体物に置き換える隠喩。
心の器に、静かに水が満ちていくようだった。
満たされる過程を「器に水が満ちる」像に重ねる。
心が、風船になって軽く浮き上がっていった。
高揚感を「風船」という像に重ねる。
冷えていた心に、温かい灯りが灯った気がした。
感激による心の変化を「灯り」という像に重ねる。
胸の中に、小さな陽だまりができたようだった。
温かい喜びを「陽だまり」という像に重ねる。
怒り2語
我慢という鍋が、静かに沸騰し始めていた。
溜まる苛立ちを「煮える鍋」という像に重ねる。
その名前を思い出すたび、心の中に黒い染みが広がった。
消えない憎しみを「染み」という像に重ねる。
哀しみ10語
たしかにあったぬくもりが、もう手のなかにない。
「ぬくもり」を触れられる物のように扱い、喪失の実感を強める隠喩。
心の中に、行き場のない霧が立ち込めていた。
「霧」という像に感情を重ね、晴れない鬱屈を描く。
心の中は、空っぽの部屋だった。
「空っぽの部屋」という像に、虚しさの質感を重ねる。
目の縁に、小さな水たまりができていくようだった。
涙の兆しを「水たまり」という像に重ねる。
心は、枯れ葉の散る庭だった。
侘しさを「枯れ葉の庭」という像に重ねる。
重い石を、心の上にそのまま置かれたようだった。
悲しみの重さを「石」という像に重ねる。
小さな棘が、そっと胸に刺さったままだった。
痛みの持続を「棘」という像に重ねる。
堰を切ったように、感情が溢れ出していった。
涙の溢れを「堰を切る」という像に重ねる。
心の真ん中に、埋まらない空洞ができたようだった。
喪失感を「空洞」という像に直接重ねる。
秋の日暮れは、いつも少し早口だった。
日が短くなる季節の推移を、性急な話し方という隠喩で表す。
恋・愛7語
その横顔だけが、世界から浮き上がって見えた。
対象だけが際立つ視覚効果を隠喩的に描き、強い没入を伝える。
小さな灯りを、両手で守っているような気持ちだった。
大切なものを守る感覚を「灯り」という像に重ねる。
小さな火種が、消えるどころか大きくなっていくようだった。
募る想いを「火種」という像に重ねる。
音もなく、心の奥で何かの扉が開いた。
恋の始まりを「扉が開く」という像に重ねる。
届かないと知りながら、灯し続ける小さな火があった。
届かない想いを消えない灯火に重ね、静かな切なさを描く。
心の中心に、相手の存在がそのまま居座っているようだった。
献身的な想いを「居座る存在」という像に重ねる。
見えない糸で、あらかじめ結ばれていたようだった。
運命的なつながりを「糸」という像に重ねる古典的な隠喩。
恐れ・不安1語
小さな動物と化して、身を縮めていた。
おびえる様子を「小さな動物」という像に重ねる。
静けさ・余韻5語
記憶の底から、ゆっくりと温かい波が満ちてきた。
記憶の想起を「波」という像に重ねる。
考えが、静かな水面に広がる波紋となって、消えては生まれた。
思考の連鎖を「波紋」という像に重ねる。
心が、ゆっくりと過去の水面を漂っていくようだった。
感傷を「水面を漂う」という像に重ねる。
波立っていた心が、少しずつ静かな水面に戻っていった。
心の状態を「凪いだ水面」という像で直接的に描く。
静けさという透明な水が、体を満たしていった。
静寂の広がりを「水」という像に重ねる。
驚き1語
頭の中が、真っ白なページになった。
思考停止を「白紙」という像に重ねる。
羞恥・気まずさ6語
頬に、小さな灯りがともっていた。
頬の火照りを「灯り」という像に重ねる。
笑ってごまかす仮面を、慌ててかぶり直した。
取り繕う態度を「仮面」という像に重ねる。
自分の輪郭が、そのまま溶けてなくなればいいと思った。
消えたい願望を「溶ける」という像に重ねる。
自分の周りに、見えない壁を作ってしまったようだった。
人を避ける態度を「壁」という像に重ねる。
心臓が、氷水を浴びたように縮み上がった。
焦りの感覚を「氷水」という像に重ねる。
周りの視線の一つ一つが、小さな針となって刺さった。
視線の痛みを「針」という像に重ねる。
決意・覚悟6語
心の中に、一本の芯が通った気がした。
定まった意志を「芯」という像に重ねる。
心の中の天秤が、静かに一方へ傾いた。
迷いから決断への変化を「天秤」という像に重ねる。
その言葉を、心の一番深い場所に刻みつけた。
誓いを「刻みつける」という像に重ねる。
優しさに、一時だけ固い蓋をした。
感情を抑える様子を「蓋をする」という像に重ねる。
遠くの灯りを、道しるべに決めた。
目標を灯りに重ね、志を静かに描く。
後ろにあった橋を、自らの手で焼き落としたようだった。
退路を断つ行為を「橋を焼く」という古典的な像に重ねる。
安堵3語
凍っていた時間が、ゆっくりと溶けていった。
「凍る/溶ける」という像で、緊張から解放への移行を描く。
暗闇の中に、小さな明かりが灯ったようだった。
「明かり」という像に、救われた心の変化を重ねる。
心の中の重い扉が、静かに開いていくようだった。
長年の重荷の解放を「扉が開く」という像に重ねる。
嫌悪・軽蔑2語
頭の中で、小さな警報が鳴った気がした。
呆れの感情を「警報」という像に重ねる。
心の扉に、静かに鍵をかけたようだった。
感情を閉ざす様子を「鍵をかける」という像に重ねる。
罪悪感・後悔7語
胸の奥に、小さな棘が刺さったままだった。
消えない自己嫌悪を「棘」という像に重ねる。
心の中で、小さな自分がさらに小さく縮こまった。
恥じ入る心理を「縮こまる」像に重ねる。
小さな石が、ずっと胸の中に沈んでいるようだった。
消えない心苦しさを「石」という像に重ねる。
その重さが、静かに肩に根を張っていくようだった。
消えない責任感を「根を張る」という像に重ねる。
鏡の中の自分と、目を合わせられなかった。
自分を直視できない状態を「鏡」という像を通して間接的に描く。
心の中に、消せない印がついてしまったようだった。
消えない自責の念を「印」という像に重ねる。
壊してしまったものを、少しずつ拾い集めていくようだった。
償いの過程を「拾い集める」という像に重ねる。